「旧約」と総称されたユダヤ教文書が、キリスト教にとっての正典であること、つまり聖書の一部をなすこと自体は、マルキオンなどの一部の例外的な理論家を除けばキリスト教のなかで疑われたことはなかった。一部の理論家は七十人訳聖書にあるいくつかの書を正典からは除外した。たとえばアタナシオスは旧約の範囲として、ほぼマソラ本文と同じものを挙げ、『エステル書』や『知恵の書』などを読むべきではあるが正典化されているわけではない書物として挙げている。しかし伝統的なキリスト教は七十人訳聖書の構成を尊重した。
16世紀になると、ルターは旧約聖書翻訳時にマソラ本文を用いたことで、ユダヤ教と当時のキリスト教の旧約聖書の構成の差異に気づき、ユダヤ教における正典と外典の区別をキリスト教にそのまま移入した。このため、今日プロテスタントと他の諸教派の間にみられる旧約聖書の構成の差異が生じた。
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旧約聖書の39巻と新約聖書27巻が、「正典」として教会により受け入れられているのは、これら66巻が聖霊による霊感によって記述されたかどうかの基準で測られ、その基準に合うと認められたからに他ならない。また、そのような基準に合格した書として、聖書の66巻は、教会において「信仰と実践の唯一の規範」とされている。
旧約時代と新約時代の中間時代に記されたユダヤ教の文献のいくつかは、歴史的には価値があると考えられるが、内容的に霊感によって記述されたのではないと判断されるので、プロテスタント教会・諸教派では、これらを「外典」と呼んで「正典」的文書とは区別している。